バロック▲シンドローム

黒を愛するオレ様 (スズメ×キツネ)


「スズメ。私だ、キツネだ」
「…入れよ」
招き入れられた部屋は相変わらず黒一色だった。たくさんの機器と床を這うケーブル。
「その辺、どけて座ってくれ」
「あ、ああ」
自分は真っ黒なベッドの真っ黒なシーツ (色が、ということだ。汚れているわけでは…あるかな、少し) に腰掛けて、
「待ってたものが今日届いた」
スズメはあいさつもなしにそう切り出した。いつもより口調は乱暴なぐらいだが、目がおかしい。
見間違いだろうと頭を軽く振って、私は口を開いた。
「なんだか知らないが、そんなに使えそうなものなのか?」
「もちろん」
やはり見間違いではない…目が…スズメの目が笑ってる!?嬉しいのはわかるが、普段見なれない表情なだけに、バロックよりも不気味な印象を受ける。
彼は待ってましたとばかりに後ろを向き、机からなにかの缶を取り上げた。
「それ、なんの缶なんだ?」
スズメが持っているのは、見える部分はすべて黒という怪しい缶詰だ。
「イカスミ」
「へ?」
ひどく間抜けな声を上げて私は訊き返した。
「イカスミ…って、スパゲティにかけたり昔スナック菓子になってたりしたイカスミか?」
「それ以外になにがあるんだ。キツネのためとはいえ、黒い液体で食用のものを探すのは骨が折れたぜ」
私が…どうかしたのか?そんな依頼をした覚えはないんだが。
イージーオープン缶のそれを開けながら、彼は続ける。
「他にもブルーベリーを潰したのとか考えたんだけどな、あれだと微妙に黒くないだろ。気が進まなくてさ」
「…………」
まさかとは思うが、食事を食べさせるために私を呼んだのか?スズメが!?
「スズメ…」
「一番最初に浮かんだのが墨汁だったりするんだが、さすがにそれは嫌だろうし。いいものが見つかって本当によかった」
墨汁…って、おい。なんだか猛烈に悪い予感がしてきたぞ。
私はのこのことここへやって来てしまったことを、はやくも後悔しはじめた。
「あああのなスズメ、私は急用を思い出した。料理ならまた今度…」
「なんだよ。お前がいないとやろうにもはじめられないだろ」
「いや、そういうのは私には手伝えないし…」
「キツネがメインなんだぞ!」
彼は叫んで飛びかかってきた。手には、その辺から引っこ抜いたであろうコードを握っている!
私は…


あっさりと取り押さえられ、後ろ手にコードで縛られて床に転がった。
「ほどけ!」
「逃げようとするお前が悪い。なにも怖いことなんてないんだから、少しおとなしくしてろ」
無茶を言うな。この状況で信じられるものか。
「…なにするつもうわああああ!?」
さらに信じられないことにスズメは、床にうつ伏せになった私のズボンを膝まで引きずりおろした。…下着ごと。
「ス、スズメ!?なにして、なにしてるんだ!」
「んー?だからさ、イカスミ試すんだよ。ローションとしていけるかどうかを」
膝を立てて必死で逃げようとしているこちらの背後に回って、彼はあっさり言ってくる。私はパニックになっていたので、言葉の意味を一瞬つかみかねた。
イカスミ…ローション…?
「黒を愛するオレとしては、こういう小道具も徹底しなけりゃすっきりしなくてな。食べられるものなら無害だろうと判断した」
「するなあぁっ!」
なおも暴れる私を自分の体で押さえ込んで、スズメが私の尻に指を突っ込んできた。
「あうっ…」
ひどくぬるぬるするのは、おそらくイカスミなのだろう。嫌すぎる。
「うーん、真っ黒。こうでなくっちゃな」
機嫌よく言っているのが信じられない――これもバロックなのか?

(2000.8.6)


ゲーム初プレイ後、最初の印象だけで書いた話。
キツネの一人称「私」がかなり好き。二十代ですよね、キツネさん?

バロシン含むこのバロックというゲームは、世界観が今までにない作品だとか、
好きなところをあげればキリがないんですが、
最初はTVで見かけたPS版OPとイラストに惚れてソフトを探し回りました。ミーハーです。

しかしプレイしてみると、普段はRPGのみでのんびりやっている人でも
なんとか進められ、そして繰り返し塔に潜ってしまう、かなり中毒性の高いゲームでした。

夜中にプレイしていると、背後にカトーさんや17歳が立っていそうな気がしてびくびくしてしまいます…。
深い階層の敵さんたちは、会うたび逃げ出しているので、あまりじっくり見たことがありません…。
ガイドブックを買って見てみることにしました。ヨハンナ・キョンが怖い…。
ガルガルタンクジョーとハナニップの区別がついていなかったことが判明。
セブンティーンのあれは目じゃなかったのか!他、色々。
自分では気付いていなかったのですが、私はプレイ中、悲鳴を上げっぱなしだそうです。


バロック(SS、PS) アクションRPG
バロック▲シンドローム(PS) ビジュアルノベル

発売元 
スティング

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