#02 「氷結呪文ギコルvsザケル」
オレはガッシュで変わるんだ!
けどそれは、一度死んで生まれ変わるという意味では決してない。
オレは、自分に突きつけられた銃口をじっと見つめた。
「さあ、ボウズ。痛い目を見たくなけりゃ、本を渡しな」
「――嫌だ! おまえらなんかにこの本は渡せない!」
ヤツの攻撃で氷漬けにされる前、ガッシュが言ったんだ。絶対に本を渡しちゃいけないと。
もちろんだ。オレは脅しに屈したりしない!
「ったく、強情なガキだ」
銀行強盗は吐き捨てて、ライフルをオレの股間にぐっと押しつけた。
――違うだろ! 普通そこは銃で狙うところじゃないだろ!
しかしそこはいわゆる急所であり、恐怖心を引き出すには十分効果のある場所だった。
思わずぎゅっと目をつぶる。
「……っ」
「……ほう……」
なにがほうなんだか知らないが、男はじろじろとオレを見ているようだった。
その間オレは、体が震えださないようにするのが精一杯。
「おい、レイコム。人質どもを見張ってろ」
オレは、はっ、と目を開けた。
「どうする気だ、細川」
「オレはこれからお楽しみだ。いいか、邪魔させねえようにちゃんと見張ってろよ」
男がカウンターを乗り越えてきた。
オレの足と椅子の足に渡したブックバンドに気づく。
「なるほどな」
にやにやと笑った。
「ボウズ、床に寝転がりな。せめて、お友達からは見えないようにしてやるよ」
……従うしかなかった。
カウンターの下、椅子とキャビネットの隙間にオレは横になり、男がその上に覆いかぶさった。
相手の体重と吐息を感じて、体がこわばる。
「……ぅ……」
「動くなよ。動くとズドン! だ」
男の手がオレの腹に回った。
カチャカチャとベルトのバックルを外す音が聞こえる。
どうなるんだ……オレ……。
ズボンの中に、ひやりと冷たい外気が入り込んできた。
うそだろ……。
「中学生だって言ってたな。なら、こういうことするのは初めてだろ?」
「!」
トランクスの中にもぐり込んだ男の手は、オレの性器を握っていた。
体は恐怖に冷え切っているのに、そこだけがじわりと熱を持つのがわかって、オレは震えた。
「やめて……くれ……」
「おいおい。まだ始めたばかりだろうがよ」
男はオレのシャツの襟を指先で押しのけ、露出した首筋に唇と舌を押しつけた。ぞくり、と痺れが走る。
ん? 待てよ――今コイツ、両手使ってないか?
目をこじ開けて視線を走らせると、床に落ちた銃身が目に入った。やっぱり!
オレは男に気づかれないよう、そろそろとライフルへ手を伸ばした。
「細川! そいつ抵抗する気だ!」
しまった、あの子供かっ!
「チィッ!」
「おっと」
オレが飛びつく寸前、ライフルは男に拾い上げられていた。
「危ねえ危ねえ……この状況で、まだ隙を狙ってやがったのは立派だが――」
男は銃口を人質たちに――水野に向けた。
「友達が殺されないと、自分の立場ってもんがわからねえようだなあ!?」
「水野ぉぉっ!」
助けたい!
オレは声を出すことも忘れ、ただただ強くそう願った。
水野を、アイツを救いたいんだ! ガッシュ!
手にした赤い魔本が光ったのと、ガッシュを閉じ込めた氷が割れたのは同時だった。
それらの光景を視界に収め、オレは力の限り叫んだ。
「ザケル―――!」
***
銀行から煙が噴き出したところで、警官隊が強行突入を果たした。
犯人は爆発のどさくさで逃げてしまったらしいが、命が助かっただけでもよかったと思う。
「清麿の救えという声、確かに聞こえたぞ」
「オレの――?」
心の声がガッシュに届いたというのか。
「思いのこもった、強い強い声であったぞ!」
「……ああ!」
目の前のガッシュの笑顔と同じに、オレもにっと笑ってみせた。
(2003.07.06)
▲ガッシュ書庫へ
アニメ感想/しょっぱなから、ハンモックで昼寝しているガッシュに萌えー!金山に言い返さない清麿を説教するガッシュにめろめろ。「あんな風に言われて、悔しくないのか清麿は!」「もう考えるな!考える前に走ってしまえ!」なんて熱いヤツなんだ!そして次のシーンの、自転車をこぐ清麿の背にしがみついたガッシュで撃沈。
ガッシュの機転で(笑)銀行に突入してからは、考えた作戦がことごとくぽしゃって泣く清麿が愛しかったです。天才という設定なのに、周囲がそれを生かすことを許さない。不憫な。
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