#03 「第2の術ラシルド!」


昨日の銀行強盗の一件で、クラスは盛り上がっていた。
「高嶺って、結構根性あんじゃねえか」
そんな風にクラスメイトからかけられる言葉はひどく照れくさかったけど、とても……嬉しかった。
ガッシュ、おまえのおかげだ。
だからオレは、おまえを侮辱したヤツを絶対に許さない。
おまえやあの子供を道具よばわりした、細川って男を。
「フリズド!」
「あ――うわあっ!?」
倒れ込んだところへ食らった二撃目は、オレの腕と足を凍りつかせ、地面に縫い止めてしまった。
動きを封じる技まで……この男、戦い慣れして――
細川はにやつきながら歩いてくると、オレの顔面に蹴りを放った。
「ほらよ」
「ぐっ!」
「清麿!」
後ろへ吹っ飛ぶこともできず、がくりとうなだれた肩を、小さな手が支えた。
「清麿! 大丈夫か、清麿!」
「ガッ……シュ……」
細川の手が伸びてくる。
「! ガッシュ、逃げろー―」
「ヌ、ヌオオー!? 離せ!」
細川はガッシュの頭をわしづかみにして持ち上げてしまった。
落ちていた赤い本を拾う。
「これがおまえの道具に、おまえの本か」
「てめえっ! まだ言いやがるか!」
「そういうおまえは、本当に状況ってもんがわからねえな。おまえは今、オレに殺されかけてるんだぜ?」
冷水を浴びせかけられたようだった。
銃口を向けられたときよりも冷たく硬い、はっきりとした殺意が向けられている。
「そ……」
「あぁ?」
「……そんなのっ……関係ねえ! オレは絶対に、てめえを許せねえんだ!」
気がつくと、オレは必死に首を左右に振っていた。
そうすることで、弱気になりそうな自分を追い払おうとしていたんだろう。
けれど、このオレの反応が相手の表情を変えてしまっていた。
「関係……ねえだあ?」
細川はガッシュと赤い本を投げ捨てると、オレのあごをつかんだ。
ほおに指が食い込む。
「気が変わった……今から昨日の続きをやってやる。あっさり殺ったんじゃあ、オレの気が収まらねえ……!」
ガッシュが跳ね起きた。
「貴様、清麿になにをする!」
「うるせえっ! フリズド!」
呪文が、ガッシュの手足を凍りつかせる。
昨日のように全身を氷漬けにされるのはまぬがれたが、ガッシュはもんどりうって草の上に倒れ、起き上がれなくなってしまった。
「き……清麿ー!」
「ハッ、おまえはそこで、こいつが泣きわめくのを眺めてな!」
オレはぐいと肩を押され、下を向かされた。無理な姿勢に、氷に固められたままの半身が軋む。
「うっ……」
「レイコム、こいつの腕を押さえてろ」
唯一自由だった左腕を背にねじられ、いよいよもって身動きがとれなくなった。
細川の手が腰に回る。
「や……やめろ!」
オレの抵抗が可笑しいのか、低い笑い声が聞こえた。
……性根まで腐ってやがる。
細川はオレのズボンと下着をももの辺りまで脱がせ、尻に指と――それから、なにか硬いものを触れさせてきた。
「ひぃっ!?」
冷たい! ――まさか氷か!?
指で割り開いて、塊を押しつけている……
しばらくすると、その部分が冷えすぎで痛くなってきて、オレはじりじりとつま先で地面をかいた。
「ん? どうした、静かになっちまったな」
「………」
痛みをやり過ごすため、無言で体をこわばらせているオレに言うと、細川は今度は塊をぬるぬると滑らせはじめた。
「はっ、ぁっ……ん……!」
驚いて叫びかけてしまい、オレはとっさに唇を噛み締めたが、背が震えるのだけは止められなかった。
うわ……どこ触ってんだよ……
「溶けてきたな。そろそろいいか」
「?」
相手のつぶやきを解する間もなく、体温で溶けて角の取れた氷が、体の中に押し込まれた。
「いっ……!」
「うぁあああああ!」
「ぐぼおっ!」
なんだ!?
振り返ると、細川が腹を押さえてうずくまっていた。オレの腕を離し、あの子供が駆け寄っていく。
そして、その前にはー―
「ガッシュ!」
ガッシュの手足の氷は、粉々に飛び散っていた。
そうか! おまえ昨日の事件以来、力が強くなっていたんだ!
ガッシュは赤い本を拾い、ててて、と寄ってきた。
「清麿……一発、かましてやったぞ」
「おお!」
「くっそお! ふざけやがって! てめえら、まとめてぶっ殺してやる!」
細川がよろよろと立ち上がっていた。
まずい――今の状態で攻撃を受けたら……
そのときオレは思い出した。ガッシュが成長したのと同じく、魔本にも変化が現れていたことを。
第二の術、ラシルド――オレはその呪文に賭けた。

(2003.07.09)

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アニメ感想/この回はバルカンにつきます。どこかのサイトさんで「清麿ありがとう!バルカンはいくつなのだ?」「五分だ」という会話が紹介されていて、その時まだ11話以外を見たことがなかった私は(11話だけはこの時点で5回は見てました)、これはビデオをさかのぼって見ねば!と心を決めました。このシーン見たさにコミックスも買っちゃったし。

だだをこねるガッシュ、バルカンと友達になって喜ぶガッシュもそりゃもうプリティでした。清麿、クラスに溶け込めてよかったよ〜。学校での二人は幸せそうで、見ているこちらも嬉しくなってきますね。下校時に土手を歩く二人もいい雰囲気で、ここまではえろの挟まるスキがありません。

細川さんともこれでお別れ。寂しくなります。…ちゃんと入れさせてあげたかった(おい!)