#06 「消えた赤い魔本」


シェリー戦の怪我で、オレは短期の入院をしていた。
最初、病院ってのはヒマなところだと思ったけど、ガッシュが院内を走り回ってオレが怒られたり、隣のベッドの勇太とひと揉めしたり、そうだ、水野も見舞いに来てくれたっけな。
ともかく、夜になったら疲れてばたりと寝てしまうような生活だった。
勇太は結構オレに懐いてくれて、ガッシュともよく遊んでいる。
ちゃんとメシも食べるようになったし。
明日には退院という日、消灯後にふと目が覚めた。
カーテンを引いた勇太のベッドから、カチ、カチ、と小さな音が聞こえる。
「勇太、まだ起きてんのか?」
返事がない。
オレは気になって、ベッドを降りた。
「勇太ー? ええと、開けていいか?」
そのまま待ってみたが――やはり返事はなく、オレはカーテンを少し開いた。
ベッドの主は腹ばいになって、ゲームの画面に熱中していた。
イヤホンをつけている。ああ、だから返事がなかったのか。
「ゲームかぁ? ほどほどにして寝ろよ」
オレは納得して背を向けかけた。
「! ……清麿ッ!?」
「あ、邪魔して悪かったな」
「いいからカーテン閉めろ! 早く!」
「ああ、うん……」
オレはなかば気おされながら、カーテンを引いた。
勇太がほっと息をつく。
「まったく……ビックリさせんなよなー」
「オレは一応断ったぞ」
「聞こえなきゃ意味ねえっつーの。あ、それよりさ、清麿も一緒にやらねえ?」
「ゲームか?」
「うん、そう! 面白いんだぜ!」
勇太はにこにこして、画面をオレに見せてきた。
「へえ、どれどれ……」
『ゆうた くん。わたしもう、ガマンできないの』
――――
オレは目が点になってしまった。
「清麿ラッキーだぜ。この子落とすの、すっげえ時間かかったんだから」
「イヤ……ラッキーと言われても……」
小さな画面の中で、黒髪ショートの女の子が顔を赤らめている。
その下に選択肢が出た。
勇太は『口で』を選んだ。
『んっ、んっ……』
オレには聞こえないが、勇太のほうには効果音が聞こえているのだろう。
「ほい」
イヤホンを片方差し出され、オレはつい受け取ってしまっていた。
「あんまりコード長くないからさ、隣、入っていーぜ」
かくしてオレは、勇太と並んで寝そべり、ゲームの画面に見入ることになった。
『あっ、ああん!』
「……今のゲーム機って、すごいんだな」
「清麿、こういうのやらねーの?」
「うーん、ウチはまず本体がないし」
勇太は焦らしまくっている。
見ているこっちのほうが恥ずかしくなるセリフを言って、女の子は切なげにオレ達を見上げた。
うわ……やばいって。
「この子って、清麿に似てると思わねえ?」
「そ、そうか?」
突然声をかけられて、オレはうわずった声で返した。
「男に似ててどうすんだよ」
勇太はじっとオレの顔を見て言った。
「清麿……勃ってるだろ」
「なっ、ななな……」
「隠さなくていいって! 男同士だろ」
「いや男同士だからとか――ちょっと待て! どこに手を入れてるうぅっ!?」
「静かにしろよ、山本のじいさんが起きちゃうぜ」
勇太はゲーム機を放り出して布団に手を突っ込み、さらにはオレのパジャマにも突っ込んで、じかにぎゅっと握った。
「ひ! 痛ててて!」
「あ、悪ぃ」
「い、いいから、さするなぁぁ〜……」
真っ赤になって目をつぶってしまったオレを気にする風もなく、勇太は形を確かめるように手を動かした。
「大っきいや……なあ! 見てもいい?」
目……目をきらきらさせるんじゃない……
オレはふるふると首を振った。
「ちぇーっ。清麿のイくところ、見てみたかったのになぁ」
そういう恐ろしいことを、平然と口にするなよ。
オレは動けるようになるやいなや、速攻で自分のベッドに戻った。
願わくば、勇太がまともな大人になりますように――

(2003.07.10)

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アニメ感想/ベッドのパイプでよじよじ新体操なガッシュが可愛いー!でも清麿以外に抱きついちゃだめぇー!食物への執着といい、最初から可愛さ全開です。つーか、年下の勇太に清麿と呼び捨てにされてるのはどうなのか?そしてスズメは柑橘類が好きですか?エレベータから降りてきたガッシュを見て、吸血鬼コスが似合うなぁ〜と思いました。清麿が犠牲者兼、下僕で。