#08 「やさしい魔物コルル」
「清麿! 今日は私がお主の背中を洗ってやるぞ!」
コルルが魔界へ帰った夜、ガッシュがこう言って飛びついてきた。
「……いきなり、どうしたんだ?」
「ウヌ! やさしい王様になるための第一歩なのだ!」
小さなこぶしを握って力強く言ってくる。
「まずは清麿にやさしくだ。それから母上殿と、バルカンと――」
嬉しそうな顔してまあ……。
静かだと思ったら、帰ってきてからずっとコルルとの約束について考えていたらしい。
それで出た結果がこれだというのが――ガッシュらしいよな。
「よーし、ガッシュ! オレの背中はまかせた!」
「おう!」
***
「あ……あう、あう……」
脱衣所で服を脱いでいると、すでに裸になったガッシュが隣でガタガタと震え出した。
「どうした?」
「き、清麿のは……でっかいのう……」
「………」
そういや、こいつの頭や体を洗ってやるのはしょっちゅうだけど、服を脱いで一緒に入るのは初めてか。
「体の大きさが違うんだから当たり前だろ」
「し、しかし! しかし!」
「考えてもみろ。おまえの体でオレのサイズだったら――……」
しまった……なんてことを言ってるんだオレは……。
「ヌオオオ―――――!」
ガッシュは怯えて奇声をあげ、オレも気分が悪くなってその場にしゃがみ込んだ。
「と、とりあえずそれは置いといてだな、風呂に入るぞ……いいな?」
「ウム……」
ざくざくと体を洗って湯船に入ると、ようやく余裕が出てきた。
「だいたいなあ、オレのぐらいで驚いててどうするんだ。親父なんて当然もっと大きいんだぞ」
「ナニ!? それは本当か!」
「ああ。オレも小さかったからよくは覚えてないが、確か……このくらい……」
無意識に手を動かし、ガッシュに説明してやっていたオレは、ガッシュが驚きに目を見開くのを見て、かつて自分も同じ驚きに出会ったことをぼんやりと思い出していた。
男の子はたいてい、こういう思いをするらしい。
「父上殿……」
おお……と感動の涙らしきものを流しているガッシュとは別に、オレはハッと我に返った。
今――今、オレ――すごく恥ずかしい会話をしてないか!?
「清麿、顔が真っ赤だぞ」
「お、おお……のぼせたみたいだ……」
実際、意識してしまったせいで頭に血がのぼり、ズキズキとこめかみが痛みはじめている。
ヤバイ――
痛む箇所に手をやろうとしたとき、ひときわ強い頭痛に目の前が真っ白になり、そのあと視界がブラックアウトした。
***
自分が目覚めたと気づくのに、しばらくかかった。
鳥の声が聞こえる。
朝だ。
オレはきちんと布団の中に寝ていた。
しかし、
「ん……あれ?」
なにか変だと思って布団の中を探ると、服を着ていない。裸で寝ている。
さらにはガッシュが隣で寝息を立てていて、布団をめくってみるとガッシュも裸だった。
髪を乾かさずに寝たらしく、髪の毛があちこち跳ねて寝ぐせがつきまくっている。
あとでお袋が教えてくれた話から考えるに、風呂で倒れたオレをガッシュが部屋まで運んでくれたらしい。
体も拭かずにオレを布団に突っ込み、自分もその隣でばたりと倒れて寝こけているガッシュを発見したお袋は、起こすのがしのびなく、布団だけかけてそのまま寝かせておいたんだそうだ。
まあ、体は乾いているし、風邪もひいた様子はない。
ただ、この状況……。
意識するほうがおかしいのかもしれないが、なんか……やたら恥ずかしいぞ……。
(2003.07.23)
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アニメ感想/ひさびさ…というか、むしろ初めてぐらいの勢いのガッシュ清麿コンビです。ガッシュ好きなんだけど、しゃべらせるの難しいなー。今まで書いたことないタイプのキャラだし。清麿はツッコミ役なので慣れてますが(酷
さて、ガッシュにとって大きな転機となったこの回、コルルの心の強さに感心するばかりです。コルルとしおりの二人が出会って、つらい状況の中でも日々を楽しもうとし始める姿に、ガッシュって心を大切にしている漫画だなぁと改めて感じました。見ててほわーんほわーんってきますよね。疲れたあなたに見る栄養。一家に一ガッシュ。家族にも薦めてみようと思います。
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