#09 「第三の術ジケルド!」
ガッシュ、相当へこんでるな……。
第三の呪文が読めるようになりオレ達は意気込んで特訓に出かけたが、術の効果はわからずじまいだった。
ガッシュは肩車をしてやっている肩の上でしょんぼりしている。
「ウルク!」
そのとき突然声とともに一陣の風が吹き抜け、同時に肩の上からガッシュの重みが消え失せた。
「……なっ!? ガッシュ!」
オレは立ち止まり、あわてて辺りを見回した。
ガッシュも赤い本もどこかへ――いや、ガッシュはオレの後方、数メートルのところに驚いた顔で立っていた。本も無事だ。
「ど、どうしたんだ! 何があった!」
走り寄って肩をつかむ。
「清麿……」
「おそらく敵だ――呪文の声が聞こえた。怪我はないか?」
「ウヌ、なんとも――」
ふと気づいたように、ガッシュはばっとマントをまくり上げた。
ちょこん、と可愛らしいものが。
「――わぁああああっ!」
「ズボンがなくなっておるのう」
「わ、わかったから! 隠せ!」
オレは即座にマントのすそを引っ張って下ろさせた。
「こんなことしたのはどこの変態だあああっ!」
「オレ達さー!」
「なんだと!?」
軽快な返事が返ってきたほうを見ると、前髪モヒカンの男とピエロのような外見の子供? が自分達を指差して立っていた。
周囲では何が始まったのかと通行人が足を止めている。
奴ら……こんな街中でしかけてきやがって――……
オレは赤面する思いを隠せなかった。
「そのガキのズボンはここだ! 次はおまえのズボンを脱がせてやる!」
「ふざけんな!」
「ハハハハ! 素っ裸になってもその強がりが続くか見ものだな!」
男の手にした本が光る。
「やっちまえ、フェイン! ウルク!」
「くそっ、ガッシュ、走るぞ! 人のいない所へ――」
オレはガッシュを引っつかんで地面を蹴った。
足に風がまとわりつく。
ああもう……やめてくれよ……なんで普通に戦おうとしないんだ……。おまえらの能力は素早く動くことなんだろ? わかった、わかったから、それを回避や撹乱に役立てろよ……。
なかば予期していたことではあるが、フェインという魔物にジーンズと下着を剥ぎ取られたオレはその場にうずくまるしかなかった。
下半身丸出しじゃ……戦えねぇええっ!
「うっ……うぅっ……」
「きっ、清麿!? 泣くな!」
「だってよぉ、ガッシュ……」
「これ以上清麿に手は出させぬ! だからがんばるのだ!」
そう言ってガッシュはオレをかばうように両手を広げて立った。
「清麿を泣かせるような者を、絶対に魔界の王にさせるわけにはいかぬ! だから……清麿! 私に力を貸してくれ!」
「ガッシュ……!」
その姿に心を打たれたオレは腹を決め、立ち上がった。
シャツを引っ張って前を隠しながらという情けない格好だが、やってやる!
おまえが諦めてないのに、オレが勝手に諦めるなんてありえないよな!
「ガッシュ、行くぞ! 全てをあいつにぶつけてやる!」
「ウヌ!」
ザケルではあの魔物のスピードにはとうてい追いつけない。ラシルドで反射できるような攻撃でもない。
となれば、これしか――
「第三の術、ジケルドおおっ!」
ヒュボッ!
「で……出た!」
特訓のときには何も起こらなかった第三の呪文が、今度は間違いなく発動していた。
ガッシュの顔の前に現れた光球がゆっくりと相手の魔物のほうへ向かっていく。
「なに……? 私をバカにしてるの?」
魔物のほうもあきれ気味だが、こちらはもっとワケがわからない。
なんなんだ、この呪文……?
とりあえず見守っていると――光球は徐々に小さくなり、まるでその輝きを吸収したかのように逆に魔物の体が光を帯び始めた。
「あら……ライトアップ?」
「すっげえぜ、フェイン!」
「でも、なんだか体が重いわ。立っていられな――」
魔物は器用に横に走った。
「お、お、お、お――――!?」
悲鳴をあげながら道路に突っ込んでいく。
当然ながらそこには車がひしめき合っており、魔物はその中の一台にべし! と張りついて、そのままどこかへ運ばれていった……
「………」
「………」
「………」
オレはハッ、と我に返った。
振り向きざま呪文を唱える。
「――セット! ザケル!」
「うおっ!?」
手の中でぼんっ、と燃え上がった本に驚き、男は本を取り落とした。
「ぐ……くそっ!」
身をひるがえす。
「あ、てめえ! オレ達のズボン――」
「そんなもん知るかー!」
あっという間に男は人ごみをかきわけて逃げていってしまい、下半身丸出しのオレは追えるはずもなかった。
「……う……」
「き、清麿、泣くでない! ほら、ズボンを拾ってきたぞ! パンツもある!」
「うおお……うおおおおっ!」
「どうしたのだ! なぜ泣き止まぬのだ!? 清麿? 清麿ー!」
オレはここが街中の路上であることも忘れて、ずるずると泣き崩れた。
オレは絶対にガッシュを……やさしい王様にしてやる!
そしてこんなバカな戦いを、もう二度と起こさせるもんかあああっ!
(2003.08.05)
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アニメ感想/清麿のはおっているシャツがもし長袖だったら、せめて腰に巻かせてあげられたのですが。そのうえ最初はあっさり全裸にさせる予定だったなんて、口が裂けても言えません。もしくは、ガッシュを持ち上げてさりげなく前を隠す予定だったとか。むしろ、ガッシュがしがみついて隠してくれる予定だったとか!
以下、アニメ感想です。
タイトル前の前回のあらすじで、しおりが身を呈してコルルを止めているシーンの倒れてるガッシュ!ヤバ!赤本コンビは両方受けですか!コミックスでゼオンの存在を知ってからというもの、ガッシュ受けにもよろよろきている私です。でもやるなら清ガシ。そもそもガッシュは可愛くて男前でまっすぐで、清麿はガッシュのこと大切に思ってるし、もう二人でイロイロしてくれればお姉さん満足です!つーか、わー!えろ書きたいー!うっ、でも、入らないよなー…(ブツブツ
…こんな視点で生きているもので、布団から起きて眠い目をこすっているガッシュはかなり危険でした。それから、喫茶店のテーブルに乗って足をぶらぶらさせているフェインにもきゅんと。彼、ちゃんと子供なんですね。
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