#11 「無敵フォルゴレ!」
ピンポーン……ピンポーン……
「誰も出てこないね」
「そうだな」
「どうしようか?」
キャンチョメに問われて、私はとりあえずドアノブに手をかけた。
「おっ。なんだ、開いてるぞ」
「ってことは、誰か中にいるのかな?」
「ハハハハ。泥棒がいるのかもしれないな」
「………!」
キャンチョメのひざが、がくがくと震え出した。
「イ、イヤ、冗談だ。きっとみんな奥にいて、チャイムの音が聞こえてないんだよ。トイレに入ってて、出てこられないのかもしれないし」
「そうだね。でもフォルゴレから先に入ってよ」
「………」
私の名はパルコ・フォルゴレ。イタリアの俳優だ。
雨の日に出会ったキャンチョメはなんと魔物で、魔界の王を決める戦いのために人間界に来たそうだ。
しかし彼の能力は戦闘向きとはいえず、キャンチョメは自分より弱い魔物と戦いたいから日本へ連れていってくれと言い出した。
そこになら自分と同じ落ちこぼれのガッシュがいるから、と。
そしてここが、そのガッシュという子のいる家のはずなのだが……
「考えていてもしかたがない。入ってみよう」
私はキャンチョメの肩に手を置いて、玄関のドアを開けた。
「誰かいないのか!?」
帰ってくるのは静寂ばかり。
キャンチョメの怯えが私にも伝わり、ちょっぴり怖くなってきた。
「か、帰ろうか?」
「ええっ!?」
キャンチョメは驚いて私の手から後ずさり、しばらくふるふると震えていたが、
「ぼっ、僕は……僕は王様になるんだー!」
と、家の中へ突進していってしまった。
「キャンチョメ! 日本では靴を脱いでから上がるんだ!」
***
私達はまず一階を探索したが、人っ子一人見つけられなかった。
「あとは……二階だな」
闇の中へ消えていく階段を見上げる。
「よ、よし……行くぞ……」
私は腰の抜けかけているキャンチョメの手を引いて、一歩ずつ慎重に階段を上がっていった。
二階へ上がりきると、廊下をはさんで左右にいくつか扉が並んでいた。
一つ一つ、順に調べていく。
扉を開けるたびにキャンチョメがひきつけを起こすので少々手間取ったが、一番奥の部屋で、私達はようやくこの家の住人に出会うことができた。
彼は赤い顔をしてベッドに寝ていた。
「風邪だな」
汗をかいて、寝苦しそうだ。
「彼が、ガッシュという子の本の持ち主なのかな?」
「そうかもしれない。でも、じゃあ、ガッシュはどこにいるんだ?」
「……かわいそうだが、彼を起こして聞いてみるしかないな」
私はベッドで眠る少年を揺り起こそうと、肩にそっと手をかけた。
「……熱いな」
「だって風邪なんだろ? さっきフォルゴレが自分でそう言ったじゃないか」
「そうなんだが、かなり熱いんで気になってな。風邪のときには熱を下げてやったほうがいいんだ」
「氷枕だね」
キャンチョメの言葉に私はうなずいた。
「ほかにも一気に熱を下げる方法があったはずだ。たしか、白いものを――お尻に入れるんだったような……」
「ええっ、なんだいそれ!?」
私は頭の中で、白いものを次々連想していった。
「これかい?」
「いや、チョコレートじゃなかったハズだ」
キャンチョメはホワイトチョコをポケットに戻した。
「じゃあ、これ?」
「ハンカチをお尻に入れるのは、かなり難しいと思うぞ」
「だったら、なんなんだよう!」
「――ハッ! そうか! わかったぞ、キャンチョメ!」
キャンチョメは地団駄を踏むのをやめて、私を見た。
しかし私は、キャンチョメに部屋の外に出ているように言わなければならなかった。
「ここからは大人の時間だ」
「フォルゴレ……」
断固たる態度に、キャンチョメはしぶしぶ廊下へ出ていった。
「なるべく静かにことを運ぶつもりだが、もしこの少年の悲鳴とかが聞こえても、絶対に入ってきちゃあいけないぞ」
「うん……僕はフォルゴレを信じてるよ」
ぱたんと音を立てて戸が閉まった。
「さて……」
私はベッドに向き直った。
「相手が同性というのは初めてだが、やってみるしかあるまい」
私は上着を脱いで上半身裸になり、布団の上掛けをめくった。
少年が起きる気配はなく、その足をまたぐようひざをついて、汗で肌に張りついたズボンと下着を脱がせる。
「フ……このくらいの年頃だと、まだ可愛いものだな」
成長途中の体は筋肉が薄く中性的で、同性の裸であってもそれほど抵抗を感じなかった。
私は彼の髪をかき上げ、こめかみに唇を押しつけた。
体がその気になってきている。
いけそうだ。
私は薄く笑って体を起こした。
彼の中に侵入すべく足を抱え上げて開かせ、その中心に指を添える。
汗で滑る指先で確かめるように数回撫で、ぐっと力を入れて指を差し込んだ。
「んッ」
少しずつ押し込んでいくと、さすがに気がついたのか少年が口元を震わせ目を開いた。
「………?」
とっさには、何が起こっているのか判断できずにいるらしい。
「――……えっ!?」
が、突然がばっと身を起こし、そのために私は指が抜けかけて、急いで彼の尻を追いかけた。
ひじで上体を支えた少年は、自分の足を抱えた私をぼうぜんと見返してきた。
「な……んだ? あんた……」
「私かい? 私はイタリアの俳優、パルコ・フォルゴレさ」
「イヤ……そういうことじゃなくて、なにしてるんだ……」
「きみの熱を下げてあげようと思ってね。風邪のときには、白いものをお尻に入れるはずだろう? それにはまず、慣らさないと……」
「慣らすとか言ってる意味はわからんが、入れるのは座薬だ」
――――――
「キャ……キャンチョメー! キャンチョメー!」
「フォルゴレ!?」
飛び込んできたキャンチョメと一緒に、私はどうにかその少年を縛り上げることに成功した。
彼が熱で弱っていたのも幸いした。
清麿という名の少年はやはりガッシュの本の持ち主で、私達はこのあと帰ってきたガッシュの電撃――もとい、清麿のカミナリを――これでもかというほど食らうハメになった。
(2003.08.25)
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アニメ感想/いやーもう、この回大好き!最初から最後までものすごいテンポで流れて目が離せません。ガッシュが可愛い!可愛い!フォルゴレの真似をして踊るガッシュ!清麿ツッコミっぱなし!血管切れちゃうんじゃないかと心配で心配で。一番好きなシーンは、『はな!ハナ!!鼻ぁ!!!』 チチをもげは別腹です。ジケルドを使うときのガッシュ、清麿、フォルゴレの並んでいるカットがすでに仲良しさんな感じでたまりませんね。
今回はフォルゴレ視点という性質上、フォルゴレがわりとまともな人に書かれていますが、実際、彼の性格はまだよくわかりません。格好よかったり情けなかったり変だったり、えーと、実は普通の人なんじゃないかと思います。清麿ほどがむしゃらに熱血できない、『大人』ですね。歳はいくつなんですか、フォルゴレさん。
(以下、ガッシュと関係ない話)
冒頭部分、バイオハザードのあの緊張感が伝わったでしょうか?バイオは肩凝りますよね。ちなみに私、PS版の1しかやっておりません。本当に初期のヤツです。でもまだ、サバイバルホラーのジャンルすらないような時ですから、初めての衝撃にがくがく怯えっぱなしでした。一人でやってると、背後にアレが立っているんじゃないかという考えが頭から離れず、そのために後ろを振り向けず、いい大人がトイレにも行けないのです。通常であれば間違いなく笑っていただろうテキストも、プレイ中に見ると、 かゆ うま こっ…怖えええぇ――!(ガタガタ)
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